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「自分の地層を作る」投稿こだま

藝大美術館

「自分の地層を作る」のワークショップに参加した方から送られてきた、作品の写真のデータと、それにまつわるテキストを掲載していきます。

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何も考えずに粘土を練っていると、段ボールの自然な模様がついた。
模様に這わせるように少しねじると、粘土は自然に還って、地層になった。
地層を優しく練っていく。
キラキラと光る、穏やかな海を感じる。
地層に波が躍った。
浅瀬には、波打ち際に打ち寄せた貝殻やかわいい石ころ。
深いところには、いつか誰かが使っていたかもしれない、鮮やかな模様のお皿のカケラ。
朝の海。
夜の海。
違う表情の海。
何億年も前からそこに在る、懐かしい記憶。

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高校の時の地学実習を思い出した。初めて生で見た火炎構造に萌えたのをよく覚えている。自分の地層はどんなだろうと考えた時、きっとまだ地盤が揺れてもいないし年月も経っていないし、ぐちゃぐちゃなだけなのではないかなと思って、境目の見えない混沌とした自分の地層を想像した。

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とにかく手を動かすことに集中していたのですが、白い紙粘土と工業製品感のある蛍光色の毛糸を選んだので、きっちりと硬めのイメージで固めようと思ったのですが、粘土という変形する素材が閉めようとすればするほど形を崩し思ったようなイメージではできませんでした。しかし変形していく粘土の形も糸と混ざり合ったからこそできた形だと思うと興味深いなと思いました。

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木や廃材を元にした粘度を使ったので木の香りがしました。竹の繊維をピンクに染めてできたテープが粘土に合うと思い、それを巻き付けました。結び方やラッピングでファンシーなイメージにしました。

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中学生のときに「大人っぽいアイテムが欲しい!」と思って買った細いスカーフを使いました。買ったは良いものの自分に全然似合ってなかったので長い間置きっぱなしにしており、いつしか若干の黒歴史にすらなりかけていました。しかし今回このように自分の地層として組み込むことで、そんな黒歴史もあったからこそ今の自分がいるんだなーと思い、なんだか心のわだかまりがとけたような気がしました。

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木粉粘土と毛糸を使用して、グルグル何も考えずに巻き付けました。
木の匂いと毛糸の感触に、いまだ見たことのない大自然の風景を思い浮かべました。個人史としての地層というよりは、遥か彼方から堆積した地層のイメージです。
ただ、それをみっともなく感じてしまう自分もいて、マスクの紐で全体を括って(木粉粘土が全然固まってくれず、持ち上げることすら適わないのでそれもあり)、何となく古紙を廃棄するときのような気持ちで結びました。

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自分の地層はどんなものかなあと考えながら糸を巻いた。糸がない層もあるし、グルグル巻きの層もあるだろうな 途中で何かが起こって糸がぜんぜん違うとこに行っちゃったりもするだろうな などと考えた。

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粘土に、頭に思い浮かんだ象形文字のようなイメージを彫り込み、古代の石碑のようなイメージを想起させたかった。無意識から生まれる文字の形が埋め込まれていく感覚が僕の地層を形成する。

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手元にあった毛糸で作りました。
黒や薄汚れた青の不穏な色の毛糸も交じりつつ、赤や黄の華やかな色の毛糸、そして最後に白の毛糸が作品の形をとどめています。

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